「分数のたし算・ひき算」でつまずく3つの理由と、教え方のポイント|小学5年生の算数【プロが解説】

異分母の分数のたし算・ひき算は、小学5年生の算数の中でも、つまずく子が多い単元のひとつです。
計算に入る前には「通分」、答えが出たあとにも「約分」という作業があり、ひとつの問題を解ききるまでの工程が長くなります。そのため、途中まで正しく進んでいても、最後まで正解にたどり着けないということもよくあります。

つまずきの原因は子どもによりますので、実際に必要な対応も一様ではありませんが、この記事では現場でよく見かける分数のたし算・ひき算のつまずきの「3つのパターン」と、教え方のポイントをお伝えします。お子さんにも当てはまるところがあるかもしれません。
少しでもご家庭でお子さんに教えている保護者の方、個別塾・家庭教師として指導されている方の参考になれば幸いです。

理由①:分数そのものの理解があいまい

分数自体は5年生で初めて出てくるものではなく、4年生までに「分数とはどういう数か」を学習しています。5年生の異分母の計算は、その理解の上に乗っています。
ここが固まっていない子は、分数を「ひとつの数量」としてイメージできず、「上下に並んだ2つの数」のように見てしまっていることもあります。

  • 分母どうし、分子どうしをそのまま足してしまう(1/2 + 1/3 = 2/5)
  • 1/2 と 2/4 が同じ大きさだと分かっていない
  • 計算はできるのに文章題になると手が止まる

このような場合は5年生の内容というより、4年生までの分数の理解が不完全なケースです。分母の数が大きいほど、分数も大きいと感じている子も少なくありません。基本的には、本質的な理解ができないまま、通分のやり方だけを教えてもなかなか身につきません。

教え方のポイント

  • 図やイラストを使い、1/2 と 2/4 が同じ大きさになることを目で確かめさせる
  • 「いくつに分けたか」、「そのいくつ分か」を聞いて、考えさせる
  • 分母のちがう分数は、そのままでは足せないことを、図で納得させてから計算に入る

ただし、こうした概念の理解に時間がかかる子もいます。計算問題に関しては、無理に完璧な理解を目指さず、先に手順を覚えさせて、繰り返しの演習で慣れさせてしまう方が早いこともあります。理解が追いつくのを待っているあいだにも授業は進んでいきますし、「できる」経験が先にあることで、あとから意味が腑に落ちる子もいます。

どのような進め方がお子さんに合っているかは、その子の特性や、今どこまでできているかによって変わることもあります。判断に迷うときは、学校の先生や、学習塾などに相談してみるのもひとつです。

理由②:通分ができない

「分母をそろえないと計算できない」ということは分かっている。そのうえで、そろえる操作の途中で止まってしまうパターンです。5年生で新しく加わる要素の中心が、ここになります。

  • 最小公倍数が思い浮かばない
  • 分母だけそろえて、分子を同じ数だけ倍にするのを忘れる
  • 通分すると数が大きくなり、そのあとの計算量が手に負えない
  • 途中の式を消してしまい、どの分数を何倍したのか自分で追えなくなる

教え方のポイント

  • 通分の途中を消させない(「×3」などを余白に書き込ませて残す)
  • 演習量をこなして計算力を上げる

最小公倍数がなかなか出てこない子には、まず倍数を書き出させてみても良いでしょう。また、最小公倍数でなくても、分母どうしをかけた数で通分すれば答えにはたどり着けます。数が大きくなるぶんミスは増えますが、たくさん演習をこなして計算力を上げていくことも大切です。見当をつけてやり直しを何度も繰り返すことが多いので、面倒になって嫌になってしまう子も多いですが、時間がかかっても大丈夫と励ましながら続けていければ、だんだんと慣れていく子が多いです。

また、通分はもとの式を頭に置いたまま、別の計算をしなければならない作業です。子どもによってはワーキングメモリへの負荷が大きい場面です。ちゃんと理解できて正解もできるのに、なかなかミスが減らないようなら、そちらの記事も参考になるかもしれません。

理由③:約分・帯分数の処理でバツになる

②の最小公倍数は、最悪思い浮かばなくても、倍数を使って無理やり計算を進めることができます。ところが、約分にはその逃げ道がありません。約分し忘れは、多くの場合そのまま減点の対象になります。計算そのものは合っているのに×がつくため、子どもにとっては納得しにくいところでもあります。

  • 計算は合っているのに、約分を忘れる(または約数が見つけられない)
  • 仮分数と帯分数の行き来で間違える

教え方のポイント

  • 「約分できる?」と聞いて考えさせてみる
  • まずは偶数かどうかに注目させる
  • 途中式を省略せずに書かせる

帯分数のひき算で繰り下がりが必要な問題は、この単元のなかでも特に手順が多い場面です。整数から1をもらって分数に直す過程を、面倒でも省略させずに書かせる方が、結果的にミスは減ります。
また、答えを帯分数で書くか、仮分数のままでよいかは、学校やテストによって指定されることがあります。理解はできているが、問題文の指示を確認できていないだけということもあります。

分数のたし算・ひき算は、「通分する → 計算する → 約分する →(必要なら)帯分数に直す」と、正解にたどり着くまでの工程が多く、どこかひとつ抜けただけで不正解になります。「小数のかけ算」「小数のわり算」なども同様ですが、「手順が増えると、ミスが増える」のは自然なことで、必ずしも深刻な問題ではなく、ある程度の演習をこなしていけば自然に慣れていくことも多いです。

どのタイプの子にも、演習量は必ず必要

ここまで3つのつまずきパターンを見てきましたが、原因は一つとも限りません。ただし、どのタイプの子にも、一定量の演習は必ず必要です。
分数のたし算・ひき算は工程が多い単元ですが、裏を返せば、慣れによる効果が大きい単元でもあります。理解できたところがゴールではありません。通分から約分までの流れが、考えなくても手が動くようになるまで繰り返すことで、ようやく安定してきます。

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