「文章題が気になる」というのは、学習塾の現場でも、保護者からよくいただく相談テーマのひとつです。しかし算数の文章題を解くには複数の力が必要であり、どこでつまずいているのかは子どもによります。まずは原因を特定しなければ、ただ問題量を増やしても、なかなか改善できずに負担を強いることになるかもしれません。
この記事では、文章題を解くために必要な3つの力と、それぞれのつまずきポイント、家庭でできる対処法をお伝えします。お子さんが今どこで止まっているかを見極めるヒントになれば幸いです。
文章題は、3つの力を順番に使って解いている
文章題を解くプロセスを、シンプルに整理すると、次の3つの段階に分けられます。
- 問題文を読み取る(読解力)
- 解き方を考えて式を立てる(問題の構造を捉える力)
- 計算して答えを出す(計算力・単位の扱い)
この3つのどれか1つでも弱いと、文章題は最後まで解けません。「計算はできるのに、文章題はできない」というお子さんの多くは、計算ではなく、その前の段階でつまずいています。逆に言えば、お子さんがどの段階で止まっているかを見極めることが、対処の第一歩になります。
①:問題文を読み取る力(国語的な読解力)
文章題はまず、国語的な読み取りから始まります。問題文に書かれていることを正確に理解しないと、その先のステップに進めません。
こんな様子が見られたら
- 語彙の理解が曖昧(「かける数」と「かけられる数」の、どっちがどっちか分からないなど)
- 「何が前提条件か」「何を聞かれているか」などの、文の要点や文脈を正確に掴めていない
- 同じ問題でも、口頭で説明してあげると、すんなり解ける
このタイプは、算数の問題ではなく、国語力でつまずいている状態です。本人は「算数が苦手」だと思っているかもしれませんが、実際は文章読解の段階で止まっています。
対処の方向性
- 「分かっていること」「聞かれていること」に線を引かせる
- 「何を求めるの?」など、文章の解釈について説明させる
- 読解力(国語力)を鍛える
読解力は一朝一夕に身につく力ではありませんが、読書の習慣などがある子は算数での理解度も高い印象があります。
②:問題の本質を理解する力(算数的な理解力)
国語的な「文章そのものの読解力」は前提条件です。「0.7倍するってどういうこと?」「速さと時間の関係は?」「なぜ個数で割ると平均になるの?」ーーこういった算数の本質的な理解は、文章を読む力とは別の問題です。
こんな様子が見られたら
- 文章を一緒に読んであげても、正確に式が立てられない
- 桁が増えたり、単位が変わったりすると戸惑う
- 数値が大きくズレても違和感を持たない
特に5年生以降は、割合・速さ・単位量あたりなど、関係性を抽象的に捉える単元が一気に増えます。学習の進度も速く、理解の面でつまずくと引きずることも多いです。5年生算数の構造的な難しさについては、こちらの記事もあわせて参考にして下さい。
対処の方向性
- 図や絵などで理解を深める(線分図・テープ図・関係図など)
- 「何でこの式になるの?」など、説明させる
- 簡単な問題から始めて、式を立てるパターンに慣れさせる
5年生あたりからは、内容も急に複雑になり、家庭だけでサポートしていくのは難しいことも多いです。必要に応じては、塾などを活用するのも良いでしょう。
③:計算して答えを出す力(計算力・単位の扱い)
3つめは、式は正しく立てられたのに、最後の計算や単位の換算でミスをするタイプです。
こんな様子が見られたら
- 式は合っているのに、計算を間違える
- 桁が増えるとミスが増える
- 単位の換算(m と cm、L と ml など)で間違える
- 答えに単位をつけ忘れる
5年生になると問題の理解だけでなく、計算自体も複雑になっています。繰り上がりや、小数点の位置、単位の扱いなど、いくつもあるポイントの、どこか一つでも間違えると不正解になります。理解でつまずいているわけではないが、ミスが増えてくるのは、この段階ではよくあることです。このケースはたいてい深刻ではありませんが、評価を誤ると、とりわけ苦手というわけでもないのに、自信を失ってしまうこともあるので注意が必要です。
対処の方向性
- 単位の換算は、都度確認する
- 式と答えを分けて、途中式などもていねいに書かせる
- ドリルなどで演習量をこなす
このタイプは、計算演習を重ねるだけでも、ぐっと改善することが多いです。強いて言えば、どこで間違えたかを自分で確認するように促すと良いでしょう。当サイトでは、家庭学習に使える算数プリントを無料で提供しています。今後も増やしていく予定ですので、よかったらご活用ください。
まとめ
文章題を解くために必要な力を、3つに絞って解説しました。お子さんが文章題でつまずいているとき、まずはどこでつまずいているのかを見極めることが、対処の第一歩になります。
- ①:問題文を読み取る力(国語的な読解力)
- ②:問題の本質を理解する力(算数的な理解力)
- ③:計算して答えを出す力(計算力・単位の扱い)
しかし、実際には原因が複合的な場合も多いですし、この3つ以外のところにあるかもしれません。家庭だけで対応が困難な場合は、学習塾などに相談されてみるのも良いでしょう。

