算数は、小学生の保護者からの相談が最も多い教科です。特に高学年になると、苦手意識を持つ子が増えていきますが、算数嫌いを放っておくと、多くの場合中学以降の数学にまで影響を及ぼします。この記事では、算数の特性を深掘りしたうえで、嫌いを克服して「できるようになる」ための、3ステップをお伝えします。
算数嫌いはどう生まれるか
最初から算数が嫌いな子はいません。多くの場合は、「分からない」「間違える」経験の蓄積から始まります。
「授業についていけない」「テストで間違いが多かった」のような経験が積み重なると、「算数は苦手」という認識が、子どもの中に少しずつ固まっていきます。特に高学年では、内容が一気に複雑になることで、間違いやつまずきの数そのものが増えます。
これに加えて高学年あたりからは、得意な子との差を感じる場面が増えます。「あの子はすぐできるのに、自分はできない」と感じることで、本人の実際の能力以上に苦手意識を強めてしまうのです。内容の難しさだけでなく、周囲との比較からくる心理的な負荷も、算数嫌いの大きな要因になっています。
本来、算数は間違えながら学ぶ教科
より基礎的な段階では、実際に長さを測ったり、具体物を操作したりしながら、正解を探り当てるように、実感を伴って気付きを得ながら学習していきます。正解を知らずにトライすることから学習は始まります。そしてその学習過程の中で、ミスは許されるものであり、むしろ歓迎されるもので、トライ&エラーを繰り返しても最終的には正解に導かれ、実感を伴った学びを得ていきます。算数は本来、間違えながら学習すれば良い教科で、その本質は学年が上がっても変わりません。
ところが、現実の学習場面では「正解か、不正解か」で評価されることが多く、「間違える = 悪いこと」と捉えられがちです。学年が上がるほど、授業で習うよりも先に解き方を知っている子も増えますから、分からない子は余計に自信を無くしてしまいます。そして、子どもの中で「間違えること」や「分からないこと」は恥ずかしいというイメージを作り上げてしまいます。
「不正解」を恐れると、悪循環に入る
「不正解 = 恥ずかしいこと」と感じるようになると、子どもはそれを避けるようになります。間違いを避けるということは、挑戦を避けるということです。トライすることから始まる算数の学習が、不正解を恐れるようになっては上手くいくはずもありません。これが算数嫌いの悪循環です。
高学年でこの悪循環に入ると、抜け出すのが急に難しくなり、中学以降の数学にもそのまま引きずられていきます。だからこそ、できるだけ早い段階で、この悪循環を断ち切ることが大切です。
できるようになるための3つのステップ
ステップ①:挑戦できる環境を作る
まず、子どもが間違いを過度に恐れずに取り組める環境を作ることが、すべての出発点になります。
- 間違いを責めない
- 他人と比べない
- 「取り組んでいること」自体を褒める
間違えることは、本来学習の過程の中で歓迎されるべきことです。間違いを叱ったり責めたりすることは、学習に対して逆効果で、むしろ「難しいのに、よく頑張ってるね」と挑戦を讃えなければならないのです。不正解を叱ると、不正解を恐れるようになるので、これは最も注意すべきことです。
また、少し難しい話ではありますが、「正解しか褒めない」のも、実は「不正解」を恐れる原因になります。「正解」や「合格」「高得点」などの結果ばかり誉めていると、知らず知らずのうちに「正解か、不正解か」を判断の基準にしてしまうのです。他人と比べるのも、挑戦意欲を削ぐ原因になりますので注意が必要です。「意欲を高める子どものほめ方」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
ステップ②:取り組めるところまで戻って、小さな「できる」を積み重ねる
必ずしも学年通りに進めなくても良いです。算数嫌いの子は、現在の単元だけでなく、前のどこかでつまずいていることも多いです。焦らず、無理せず、取り組めるところまで戻って、そこから始める方が結果的に早いこともあります。
- 必要なら、数学年さかのぼってもよい
- 簡単な問題から始めて、小さな「できた」を積み重ねる
- 戻ることを、恥ずかしいと思わない
算数は、前に学習した内容を土台として、学習を積み重ねていく教科です。早く追いつかせたいと焦る保護者は多いですが、土台が抜けている状態で、無理に先の学習を急いでも負担を強いるばかりで学習にならず、むしろ算数を嫌いにさせてしまいます。恐れずに挑戦できるところまで戻ることで、いきなり追いつくことを目指すのではなく、まずは挑戦できることを目指しましょう。
ステップ③:徐々に演習を重ねて、「できる」を目指す
一度「できた」だけでは、定着しません。算数の力は、繰り返しの演習を通じて、「考えなくてもできる」レベルにまで持っていくことで、ようやく安定します。
- 最初は少ない量から取り組む
- 同じパターンの問題を、何度も繰り返す
- 徐々に量や難易度を上げる
算数が嫌いな子に、いきなりたくさんの量を取り組ませるのは難しいです。心理的にも負担が大きすぎると、嫌いな気持ちはより強くなってしまうかもしれません。焦る気持ちもわかりますが、無理のない量から始め、取り組めるようになってきたら徐々に量や難易度を上げていきましょう。
ここまできたら演習量をこなすことも大切です。当サイトでは、繰り返し演習に使える無料の算数プリントを提供していますので、よかったらご活用ください。
まとめ
算数嫌いの克服は「間違いを恐れずに、挑戦できるようになる」ことから始まります。
- ステップ①:挑戦できる環境を作る
- ステップ②:取り組めるところまで戻って、小さな「できる」を積み重ねる
- ステップ③:徐々に演習を重ねて、「できる」を目指す
焦らず、その子のベースで、できるようになることを目指していけると良いですね。「焦らず、その子のペースで」というのは、必ずしも「ゆっくりやる」ということではありません。その子にとってのベストな学習進度を見極めるのは簡単なことではありません。家庭だけで困難な場合には、学習塾などを活用するのも良いでしょう。

